イライラしにくい一日は、朝の一杯から──季節ごとの飲み物の選びかた

幹に触れる手

冬の朝、祖母の家の台所で、湯のみに番茶を注いでもらったことを覚えていますか。両手で包むと、指先からじんわり温まって、湯気の向こうでラジオが鳴っていました。

いまの朝は、目覚ましを何度か止めて、起きたとたんにスマホの通知を見て、もう何かに追われている。コップ一杯の水を飲む間もなく、家を出る日もあります。

一日の最初に何を飲むかは、小さなことです。でも、小さなことだから、今日から変えられます。ここでは、季節ごとの、朝の一杯の選びかたを紹介します。

1 どんな水分を、どのように取っていますか?

朝一番から心地よく目覚めて、快活に動く方もいるでしょう。または、眠気がしばらく抜けきれず、なんとなく不機嫌にスタートする方もいると思います。

どちらにしても平等に始まる朝です。

さて、そんな朝一番に取り入れるものは何ですか?

⚫︎ 冷たいミネラルウォーター

⚫︎ 目覚めるホットコーヒー

⚫︎ どんな時も朝食も含めてスムージー

⚫︎ 体に優しいノンカフェインのハーブティー

1−1 水分を取る重要性

からだの半分以上は、水でできています(大人でおよそ6割)。

では、水の働きを見てみましょう。

1−1−1 水のはたらきと重要性

大人がふだん1日に失う水分は、約2.5リットルといわれています(汗をかく日は、もっと多くなります)。汗や呼吸、尿として出ていきます。

そのうち食事からとれるのは1リットルほどなので、残りは飲み物でおぎなうことになります。

水は、からだの中でこんな働きをしています。

○ 便をやわらかくして、お通じを助けます。

○ いらなくなったものを、尿として外へ出します。

これだけではありません・・・

○ 汗になって、暑い日のからだの熱を逃がします。寒い日の温かい飲み物は、からだを内側から温めてくれます。

○ 緊張した時には、喉がカラカラします。そんな時の一口の水は、気持ちをホッとさせてくれる癒しの存在にもなりうるのです。

1−2 朝いちばんのコーヒーは、少しあとに

入れたてのコーヒーが目覚めの一杯、という方も多いと思います。あの香りを楽しみにしている朝もあります。ただ、胃が弱い方は、何も食べていない時に飲むと、胃がもたれることがあります。

水を一杯飲んでから、あるいは何かひと口食べてからにすると、胃にやさしくなります。

また、カフェインをとりすぎると、気持ちが落ち着かなくなったり、夜に眠りにくくなったりすることがあります。

最近は、カフェインを抜いたコーヒー(デカフェ)も手に入りやすくなりました。二杯目からはそちらにする、というのもひとつです。

ちなみに中東には、カルダモンというスパイスを加えて、香りよく飲む習慣があります。

2 心を癒す飲み物

私たちの体は、季節の移ろいや置かれている状況によって、心と体に調和をもたらす食物を選んでいます。時には、心の平安をもたらすものを欲することもあるでしょう。

朝の一杯を、ほっとできるものにしてみる。それだけで、朝の気分は少し変わります。

2−1 春夏にジュースを取り入れてみる

朝いちばんに取り入れるものが、フレッシュで、かつ鮮やかな色だったりすると、テンションも上がり「よし、今日もいこう」という気になります。

生の果物や野菜のジュースは、ビタミンやミネラルを手軽にとれます。ミキサーがあれば、数分でできます。

春から夏の、気持ちのいい朝に。

2−1−1 フレッシュな気持ちになるジュースレシピ

材料:およそ300cc分

小松菜2〜3株

りんご 半分

バナナ 半分

水   100ml

[作り方]

① 材料をよく洗います。

② 青果を一口大にカットします。

※ りんごは皮を残しておきます。

③ ②をミキサーに入れます。

※ 水を先に入れておくと、なめらかになります。

④ なめらかになるまで、ミキサーにかけます。

2−1−2 材料のこと

小松菜 アクが少ないこともあり、生で食べることができる葉物野菜です。

カルシウムが多く、ほうれん草の3倍ほど含まれています。

カルシウムは、骨や歯をつくるのに欠かせない栄養です。

りんご イギリスの古いことわざに「1日1個のりんごがあれば医者はいらない」と言われます。薬のかわりになるわけではありませんが、それだけ昔から、身近で頼りにされてきた果物です。 ペクチンという食物繊維が、おなかの調子を整えてくれます。

バナナ 消化吸収の良い糖質・クエン酸・たんぱく質・ビタミン類・カリウムを含みます。すぐにエネルギーになる糖質を含むので、朝ごはんの代わりにもなります。水溶性のペクチンとオリゴ糖も含まれるので、腸内を健やかに保ちます。

2−1−3 飲みかたのこと

・果物や野菜は、冷蔵庫から出して少し置き、冷たすぎない状態で使います。

暑い時期でも、冷たいものを一気に飲むと、おなかが冷えて調子をくずすことがあります。

・一度に作るのは、その場で飲みきれる量に。

時間がたつと、色も味も変わって、ビタミンCなども少しずつ減っていきます。

作りたてを、なるべく早めに。それがいちばんおいしい飲みかたです。

2−2 寒い時期の、朝の一杯

寒いとなかなか起きられない・・・なんとなくダラダラしてしまう・・・そんなことはありませんか?

そんな朝は、からだを内側から温める一杯を。

温かいものがおなかに入ると、からだがゆっくり目を覚ましていきます。

2−2−1 冷える冬の朝に、梅醤番茶

「梅醤番茶(うめしょうばんちゃ)」は、梅干しと醤油に熱い番茶を注ぐ、昔ながらの飲み物です。マクロビオティック(玄米と野菜を中心にした食事法)でも、よく知られています。

冷える朝や、なんとなく胃腸が疲れている朝、風邪のひきはじめのようなだるい朝に、昔から飲まれてきました。

塩分があるので、一日一杯くらいに。血圧の高い方や、塩分をひかえるように言われている方は控えてください。

2−2−2 梅醤番茶の中身と作用

[梅干し] 昔から「梅は、その日の難逃れ」と言われているように、昔から暮らしの中で頼りにされてきました。すっぱさのもとは、クエン酸です。

[醤油] 大豆と塩と水と麹を合わせて発酵させて出来上がるのがこれです。発酵食品ならではの、うまみと香りがあります。

[三年番茶]刈り取った茶葉と茎を3年間熟成させたお茶です。茶葉と茎を蒸して、揉んで、乾燥させて熟成させています。その後に焙じるという作業で火の力が加わり、体を温めるお茶となります。カフェインがほとんどない、優しいお茶です。

どこか懐かしい、ほっとする味です。両手で湯のみを包んで飲むと、それだけで少し気持ちがほどけます。梅干しをほぐして醤油を数滴、熱い番茶を注ぐだけですが、忙しい朝はそれも手間かもしれません。

梅干しと醤油をあらかじめ合わせた瓶入りのもの(梅醤)も、マクロビオティックの商品を扱う店舗や健康食品を扱う店舗にて販売されています。

持ち歩けるスティックタイプもあります。

3 まとめ

朝の散歩の途中、公園のベンチで水筒のお茶を飲んだら、いつもと同じお茶なのに、やけにおいしく感じたことはありませんか。頭の上で葉がさわさわ揺れて、風が少し冷たかった。急いでいなかった、というだけのことです。

ジュースも梅醤番茶も、毎朝でなくてかまいません。コンビニのペットボトルで済ませる朝があってもいい。白湯を一杯、両手で包んで飲むだけでも、からだはちゃんと朝を受け取ります。

時間のある朝は、その一杯を、窓から木の見える場所で飲んでみてください。秋なら、葉の色が昨日と少し違うことに気づくかもしれません。

自分のために一杯をいれる時間は、その日いちばん最初の、休み時間です。

そういう時間のつくりかたを、林浴(りんよく)と呼んでいます。

→ 林浴とは──森が、大人の保健室になる

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komorebi 林浴ライフデザイナー 西川えりこ