マンダラ(曼荼羅)という言葉を聞くと、アートや宗教的な要素が浮かんでくることの方が多いかもしれません。
ここでは、曼荼羅というものが、自然界との結びつきがいかに大きいかを見ていきます。
そして、どんどん読み進めていただくと、曼荼羅というものは、とても古くて、尊くて、とても近い存在なのだとういうことをしみじみ感じていただけることでしょう。
そして、私たち一人一人が曼荼羅の中で生きていて、曼荼羅を持っているとも言えるのです。
1 曼荼羅(マンダラ)という概念
1−1 曼荼羅(マンダラ)とは
サンスクリット語で、「円・輪及び中心との関係」という意味を持ちます。
語源は、「本質のもの」の意味とされています。また「丸い」という意味もあります。
「円」は完全・円満などの意味があることから、これが大元の語源であるとも言われています。
また、多くの方が知るところの、「聖域・仏の悟りの境地、世界観などを仏像・シンボル・文字などを用いて、視覚的・象徴的に表したものです。
これが、いわゆる「曼荼羅あるいは、曼陀羅」と表記されています。
1−2 曼荼羅(マンダラ)という言葉の由来
曼荼羅とは、古典サンスクリット語の「mandala:マンダラ」を漢字で表現した言葉です。
漢字で表記することは、仏教的見地からのマンダラの表し方になります。
マンダは「本質」、ラは「有する」という意味で、本質を有するという意味になります。
また、少し違う意味もあります。
マンダは「円」であり、聖なる中心を意味しており、ラは、区切るという意味を持っていて、マンダラとなると「本質の器」と訳されるとも言われています。
1−3 曼荼羅(マンダラ)の解釈
「円・輪の周りに組織されるあらゆる形」とまで解釈されます。
この中心部とその周辺の構造は、生命の原初の構造を思い起こします。
それはつまり、細胞とその核。または、太陽とその周りを回る惑星群にも同じ様を見ることができます。
曼荼羅の構造は、創造と宇宙の調和を表し、内部にある小宇宙とその外部にある大宇宙をつなぐものになっています。
渦巻きの形をした銀河系も、原子核の周りを回る電子も、同じ構造をしているのです。
ということは、この構造は、無限に大きいものの中にも、小さなものの中にも存在しているということなのです。
ここに現れる、中心は「創造の源泉、神性、永遠を表します。
また、渦巻きは女性性を表し、球というのは、想像・呼吸・時を象徴すると言われ
ています。
2 自然界と曼荼羅(マンダラ)
2−1 無限のスペースに存在する曼荼羅(マンダラ)
2−1−1 鉱物
丸い「地球」の一部である鉱物の断面図は、このようになっています。
地球と自然が作り出した、芸術品です。
2−1−2 植物
花の顔を正面から見てください。
中心から広がる美しい世界がそこにあります。絶妙なバランスを、表しています。この技も自然界が作りだしたものなのです。
2−1−3 クロップサークル
ミステリーサークルとも言われています。
これは、作物を円形状に倒した不思議な図形のことを言います。イギリスを始めとする成果各国で、この現象が報告されています。この原因については、UFO着陸後説、プラズマ説、気象説など様々です。
しかし、現在になって流布されている情報では、イタズラ説などとも言われています。イタズラ説では、到底説明できるものではないものも多く存在しているため、今もなお「ミステリーサークル」として知られているわけです。
2−1−4 木に見る曼荼羅(マンダラ)
木にも曼荼羅は存在します。古木の断面図には、年輪を通して木の年齢さえわかります。
木は、毎年新しい年輪をつけます。年輪の明るいほうは、春に形成されたもので暗い部分は、夏の終わりか、秋の初めに形成されます。
そこには、生育環境や、日照なども見て取ることができるのです。年輪を見ると、どんな環境でも、木々がじっと耐え忍んできた様子などがわかるのです。
2−2 ネイティブ・アメリカンの長老のメッセージ
ブラック・エルク(1863〜1959年)
オグララ・スー族のネイティブ・アメリカンの長老の名前です。彼の予言的なヴィションが、今もなお世界各国の多くの人に知られるところです。
ブラック・エルクは、アメリカインディアンの勇猛で聞こえたスー族の呪術師に生まれました。彼は、メディスンマンの草分け的存在であり、最初に「文字を持った」メディスンマンです。
さて、インディアンの生活というのをご存知でしょうか?
インディアンの生活は、すべて輪を描いて行われているのです。なぜなら、世界をつかさどる力は、常に輪を描いて働いています。
ありとあらゆるものが、輪の形になろうとしている・・・とインディアンたちは言います。
一番強い風は、丸く渦を巻いて吹きます。鳥の作る巣も丸です。太陽が昇って、落ちていくのも輪を描いていると・・・
ここにブラック・エルクの教えをご紹介しましょう・・
宇宙の力が行うことは、すべて円の形をとる。
空は円く、地球は球ののように丸いそうだし、星々もみな円い。風は全力で吹く時は渦を巻く。
鳥は丸い巣を作るが、それは鳥も私たちと同じ信仰を持っているからである。太陽は円を描いては昇り、そして沈んでいく。
月も同じだ。そして、太陽も月も円い。
季節でさえ、変化をしながら大きな円を描いていく。
そして、季節はかならず自分のいたところに戻ってくる。人の命は子供から子供へとつながる円を泣いており、こうして円環は、力の働くあらゆるものに見られるのだ。
「ブラック・エルクは語る」より一部抜粋
3 曼荼羅(マンダラ)と文化
多くの方が目にして、イメージする古くからの曼荼羅とは、仏教の大きな掛け軸のようなものかもしれません。
この曼荼羅はどんな意味を持つのだろうと思ったことはありませんか?
曼荼羅(マンダラ)は、サンスクリット後のmandalaの音写したものになります。
本来の意味としては「本質・中心などを持つもの」として表現されています。
仏教では、また少し違った意味を持つものとなってきます。その奥深さをお伝えしていきます。
3−1 曼荼羅(マンダラ)と宗教の関わり
曼荼羅の原型は、インドのバラモン教やヒンドゥー教の宗教儀礼にあります。
幾何学模様や、神の姿を描いていました。あらゆる神々を招いて供養するとともに、祈願することを行っていました。
その儀礼が、仏教にも取り入れられるようになってきたというわけです。
曼荼羅とは、宇宙を示したものと言われるように、多くの要素を持った集合体です。ここには、空間・領域・場を表しており、つながりを持った世界観が示されているのです。
3−2 日本の仏教と曼荼羅(マンダラ)
曼荼羅の原型には、宇宙感が示されているのですが、日本においては、仏教の世界観が表されているのが特長です。
日本での曼荼羅は、主に密教曼荼羅を指しています。
密教の曼荼羅の構成は、幾何学的になっています。すべての像は正面向きになって表されているのですが、これには法則や意味があるのです。
例えば、中心に配置されているものは、最も大きく描かれ、中央から外に向かっていくにつれて、配置されている仏像は小さくなっていきます。
ここでは、空海がもたらした「金剛界曼荼羅」と「胎蔵曼荼羅」があります。
この二つを合わせて、両界曼荼羅と言われています。
また、密教とは違う側面の仏教の根本思想を表した「六道曼荼羅」というものもあります。
4 曼荼羅(マンダラ)アート
曼荼羅アートは、日本国内にとどまるものではありません。
その美しさを、世界各国であらゆる材料でもって表現されています。
4−1 砂曼荼羅(マンダラ)
静けさの中で、僧侶たちが鮮やかな色彩の砂を用いて描く曼荼羅があります。
これを作成せるのは、仏教の中でも独自の文化として築き上げてきた、チベットにあるのです。
砂曼荼羅の製作期間は、およそ一週間です。
一心不乱に砂を落としていく様は、修行というに相応しい空気感が漂います。
この砂曼荼羅は、仏が住む宇宙を表していると言われています。
この美しい砂曼荼羅ですが、精魂込めて作られたものであるのに、完成後はすぐに壊されてしまうのです。
「自分の肉体もいつかは滅びる」という諸行無常の教えがそこにあるのです。
物質的な繁栄だけを求めるのでなく、心や精神性の奥深いところの繁栄を求めるのを感じられます。
4−2 曼荼羅塗り絵
曼荼羅という美しいデザインというか柄というか・・・それは人々を魅了する形です。
それに惹かれることがわかっているから、曼荼羅を描くという行為に導かれる人が増えているのです。
例えば、最近は「曼荼羅パステルアート」などを描く方も多くなり、以前よりも曼荼羅というものが普及しています。
美しい色合いと、そのデザインは「引き寄せる」力を持っているとしか思えません。
その中でも、「曼荼羅塗り絵」というものが多く普及しています。
手軽で、取り掛かりやすくもあり、書店ですぐに手に入ります。特にこだわることがなければ、Webからもダウンロードできるものです。
この曼荼羅塗り絵には、実は深い意味と意図があります。
4−2−1 曼荼羅(マンダラ)塗り絵をスタートさせたのは
イギリスのデザイナーで、曼荼羅の研究家でもある、「マドンナ・ゴーディング」が曼荼羅塗り絵をスタートさせました。
ゴーディングの「マンダラ論」に触れると、私たちが存在している「ここ」が曼荼羅なのだ・・・と理解することに至る気分になるのです。
そして、曼荼羅の解釈が断片的でなく、大きなものとして、大きく変わってくるのです。
曼荼羅は、単なる過去の遺物ではない・・現代人にとっての有効なツールであることに気づきをもたらしてくれるのです。
ゴーディングは、『World Mandalas』という著書のなかで、このように言っています。
「マンダラは、宇宙・自然・時間・文化・人間の全体性や幸福・精神的な旅
をそれぞれ象徴している」と。
4−3 ケルトの模様
古代ヨーロッパに住んでいた、ケルト語を話す人々や文化のことを言います。
文字を持たない文化ということで、謎の部分が多く、未解明のままです。
ケルト語を話すケルト人とは、民族ではなく、ヨーロッパに散在していた先住民族です。ヨーロッパにおいて生きていていも、一つの国に落ち着くことはいのです。
ケルトは、「大陸のケルト」と「島のケルト」と大別されますが、長い時間に移動を重ねたり、戦いの間にほかの民族と一緒になることで、紀元前600年頃にアイルランドの島に渡っています。
4−3−1 トリケトラの模様
この名称は、3つのコーナーという意味になります。三位一体を表す図であり、「3」という数字は、自然界に働く力のことを言います。
例えば、生と死と再生、肉体と精神と霊、などがそれになります。円や、その他の複雑な模様が編みこまれていても、角が三つあるものはトリケトラに分類されます。
4−3−2 女性性を表すトリスケル
聖なる数字3と回転するエネルギーが合わさったものになります。多くは、月や女神など、女性性を表すシンボルになります。
女神のシンボルである、「少女」「母」「老婆」、または「満ちていく月」「欠けていく月」「満月」を表現するとも言われています。
4−3−3 スクエア・ノット
四角のデザインが特徴の、ケルト模様です。4は、安定の数字であり、四季や火・水・風・地の4エレメントを表します。
守護の力があると考えられて、兵士の盾にも描かれた模様です。
4−4 女性の描くランゴリ
インドの伝統では、現在まで続く、女性によって伝えられる「マンダラ」があります。
これをランゴリといい、複雑な形の曼荼羅型図形を描いて、自分たちの家や中庭を飾ります。
これは、たいてい赤い土間の上に、小麦粉から作った白い塗料で描きます。よく描かれる図柄というのがあり、花・葉・動物・小鳥と幾何学模様になります。
描き方は、最初に点で格子を描き、それから直線と曲線を描き加えて、全体を構成していくものになります。
このテクニックは、母から娘へと継承されるもので、個人的な表現もあり、その家のお祝いごとのためや、神々に家を守ってもらうための捧げ物としても描かれます。
よく似た伝統が、ネパールにもチベットにもみられます。
4−5 教会のバラ窓
キリスト教に曼荼羅があるとすれば、ロマネスク様式やゴシック様式の大聖堂に見られる「バラ窓」がそれになります。
バラ窓の起源は、無学で字が読めない者のために、教会の壁面に、キリストや聖母マリアの生涯について描くように始まったものになります。
なぜバラかというと、様々な説があり、判明はしていません。ある説では、聖母マリアが、バラの花に例えられていたから・・とか言われています。
このバラ窓が見られる、代表的な場所としては、フランスではシャルトル大聖堂。パリのノートルダム大聖堂。イタリアでは、ヴェローナのサンゼノ教会になります。
4−5 ヒルデガルトの曼荼羅
キリスト教にまつわる曼荼羅として、ベネディクト派の聖女ビンゲンのヒルデガルトが描いたものです。
ヒルデガルトは、多岐にわたる才能の持ち主でした。また、修道女でもありました。この人が描いたもので「宇宙卵」があります。
宇宙を生み出す卵のことであり、世界卵とも言われています。また、宇宙そのものの形態を示しているものとみなされてきました。
ヒルデガルト描いた宇宙卵は、特徴的です。
というのは、よく見ると真ん中にあるのが地球で、その上の方にあるのが、月を表しています。
この当時は、天動説が定説だったので、地球が宇宙の中心となっているのです。
さらに、この二つの天体は、きらめく星によって取り囲まれています。じっと見ていると、星空を見上げているというより、井戸の底に映った星空を覗き込んでいるような感覚になるのです。
4−6 糸かけ曼荼羅
糸かけ曼荼羅は、板にピンや釘を打ち、そこに規則正しく糸をかけて模様を作っていくものです。
その際に、色と数または素数を掛け合わせていきます。糸かけ曼荼羅は、シュタイナー教育では、幾何学を学ぶのに使われてもいます。
また、曼荼羅の作成になりますので、自分と静かに向き合う時間になります。
糸は、色のついた木綿糸で構いません。板については、化粧板が良いでしょう。
板の色は、天然木を生かしたものや、白などもありますが、黒が映えるので、黒をお勧めします。
制作をしていくにあたり、難しくはありませんが、時間がかかります。
休憩を挟んで、5時間強ほどみていただくことをお勧めします。
素数とは、1とその数でしか割れない数になり、1は含まれません。
ちなみに50以下の素数は、次のようになります。
2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31、37、41、43、47
4−7 点描&線描曼荼羅(マンダラ)
黒い用紙に、コンパスと定規でもって、下地を書き、ペンで点を打っていきながらアートを作成していきます。
一見難しく見えますが、ちょっとコツを知ると自分でも驚くくらいに美しいアートを仕上げることができます。
絵心は全く必要ありません。
点、点・・・ひたすら点々を打つだけなのです。
描くことでの可能性
* 描く瞑想となります。自分と向き合う静かな時間を持つことができます。
* 直感力が育ちます。
* 自分の心の中が明確化されていきます。
* 自分の頭や心が整理されます。
* セルフイメージが上がります。
点描マンダラを体験していただいた方は、たくさんの感覚と感想をお持ちです。
無の時間に夢中になれる方もいましたし、腕は疲れているのに、頭が軽い・・という感想をお持ちの方もいらっしゃいます。
受け止め方は、それぞれなのです。ただし、プラスのイメージをお持ちだということには変わりありません。
5 曼荼羅(マンダラ)から得る癒し
5−1 曼荼羅(マンダラ)と心理学といえば
曼荼羅を考えるとき、宗教やアートとともに欠かせないのが、心理学になります。
その心理学と深く結びつけたのが、スイスの精神医学者カール・グスタフ・ユングです。その名と存在は、分析心理学の第一人者としても有名なところです。
よく知られるところの「意識」「無意識」の構造については、このユングから成っているのです。
このユングが、強い関心を示し、クライエントとの関わりの中で、治療に導入したのが、「マンダラ」なのです。
ユングは、曼荼羅に関する個人的な経験も含めたものを「赤の書」に著して、残しています。
では、ユングがなぜ「マンダラ」に魅了されて、治療にまで導入したのかを、見ていきましょう。
5−2 ユングの中から現れた曼荼羅(マンダラ)
ユングは、精神的に危機の状態に陥った時の自己治癒の過程で自然に現れてきたものがのちにマンダラだということに気づきました。
実は、1912年にユングは、心理学者のフロイトと決別したのでした。
その後、方向を見定めることができなくなり、精神状態が不安定になりました。それは、ほんの一時のことではなく、1916年頃まで続いていたと言われます。
そのような状況下で、彼は自分の中から湧き上がってくるものに導かれて、円形の図をたくさん描いていたのです。
それは、ユング自身の心の治療に大きな影響を及ぼしました。そして、それは、曼荼羅にとても似ていたのです。
その経験があって、ユングは心の治療に「マンダラ」を見出したのでした。
5−2−1 ユング 患者の中から曼荼羅(マンダラ)を見出す
ユング自身の経験の後、回復期にある患者に絵を描かせてみるということを試みました。
すると、マンダラ的な図を描くことが分かったのです。
それは、絵のみでなく夢や幻想においても円を始めとする象徴的図形が患者の心から自発的に生じてくるのを発見しました。
このような「マンダラ」は、心の分裂の危機の状態を感じる時に、統合しようとする心の内部の働きとして生じたもので、自己治癒の存在なのだと捉えました。
この二つの経験を経て、とあるチベットの文献から、曼荼羅というものは、宗教的に大きな意味を持つものとしてその存在を初めて知ったのでした。
5−2−2 ユングの曼荼羅(マンダラ)とは
本来の仏教におけるマンダラの意味というのは、「自己が自在する」ということに対して否定的です。
「欲望」というものを否定するものになっています。
つまり、「マンダラ」を生み出した根源は、修行から始まったのです。
しかし、ユングの「マンダラ」は「個性化」という概念を打ち出しています。
人並みの欲望を持った大人を、よりよく育むための有効的な手段として位置付けたのです。
心を病む人々は、主体性を失っています。そのような状況に陥っていた人の個性を蘇らせることを担うのが「マンダラ」だと捉えたのです。
ユングの「マンダラ」の存在というのは、自己肯定という考え方を持っています。
6 日本の模様に曼荼羅(マンダラ)を見る
曼荼羅という形を古の日本の柄にも見つけることができます。
きっと、多くの方が目にしていることでしょう。それは、着物だったり昔の折り紙の柄に見たのではないでしょうか?
6−1 麻の柄にある曼荼羅(マンダラ)
麻の葉模様というのは、麻の葉の形を模様化した、幾何学模様になります。
それは、六角形のひし形を結びつけた模様で、「麻の葉繋ぎ」とも言います。
この模様は、平安時代からあったと伝えられています。
麻の葉の特徴といえば、4ヶ月で4mにもなるということです。手間をあまりかけなくとも大きく育つその様と、模様そのものに邪気を払うとされていることから、、成長と魔除けの意味を持っています。
その証拠の様に、昔の人々は、赤ちゃんの産着に麻の葉模様をよく使っていました。
6−2 雪の結晶に見る曼荼羅(マンダラ)
雪の結晶の六角形を見ると、曼荼羅と見ることができます。
かつて、江戸の町では、雪の結晶の柄の着物が流行ったこともあります。
当時は「雪華模様」ということで親しまれ、愛されていました。
中でも、「雪輪模様」は有名です。その名の通り、雪の結晶の輪郭を、曲線でつなぎ合わせて文様化したものです。
この模様は、冬の模様のよう見えますが、雪輪に桜や、雪輪に楓といったものの組み合わせが多くあります。
ここには、自然と共に生きてきた人々の思いがあります。
「野山の草花を育み、秋の実りをもたらすには雪解け水が欠かせない・・・」という意が込められています。
巡り巡っている日本の四季と自然の恵みをもたらすものの一つが「雪」です。
その雪の模様は、冬だけのものではなく、四季を通じて用いても良いとされていました。
7 教育の中の曼荼羅(マンダラ)
7−1 カナダの保育園に活用されている曼荼羅(マンダラ)
曼荼羅を描くとか、曼荼羅を塗るとか、曼荼羅そのものを作成していくということを教育の中にも導入してる国があります。
それはカナダの保育園になります。
自然の葉や花を放射線状に配置して、ナチュラル曼荼羅を作成してみたり、曼荼羅塗り絵にはまってしまう子もいるほどです。
実は、カナダでは、日本ほど「色塗り」というものを推奨していません。それは、「枠の中に色を収めなくてはいけない。枠をはみ出してはいけない。」という考え方があまり一般的でなく、好まれていないからなのです。
むしろ、自由な発想で色を楽しもうという傾向にあります。
ただ、驚くべき集中力を持って取り組む子もいるということです。曼荼羅とは、国も人種も大人子ども関係なく魅力的に映るものだなのだ、ということがわかります。
7−2 日本の幼児教育と曼荼羅(マンダラ)
とある関西の保育園では、プログラムの中に座禅や武道、英語などを盛り込んでいます。そのプログラムの中に、「曼荼羅塗り絵」があるのです。
スイスの精神医学者カール・グスタフ ユングが、曼荼羅に大きな興味を持ち、実際にクライアントの治療に用いていたことは知られています。
そのことから、曼荼羅は、葛藤を調和に導き、崩壊していた秩序を統合する力を持っているとも言えるのです。
子どもたちの取り組みの中に導入し、この不思議な図形を好きな色で自由に塗っていくということは、子どもたち自身の中に調和のとれた豊かな心が育ち、自主性と独創性が芽生える良さを持つ合わせるということで導入されてます。
8 神聖幾何学図形に見る曼荼羅(マンダラ)
8−1 シード・オブ・ライフ
この形を見たことのある方もいるでしょう。円が7つ重なり合っている図形になります。この7という数字ですが、創造の7日間のシンボルになります。
構造は、6つの円の中心に一つの円を足し、7つの円が重なってできています。この形は、すべての生命が最初に作り出す形ということから「生命の種子」と呼ばれてもいます。
この形状までは、この世の生きとし生けるもの、すべてが同じ形なのです。
この7つの円には、意味があります。
『はじめに神は天地を創造され、闇は深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。神は言われた「光あれ・・」と。するとそこには光があった』
聖書「創世記」より抜粋
まず、円を「日」と表しています。
第一の日 光と闇
第二の日 天
第三の日 地・草・木
第四の日 太陽・星
第五の日 生き物(鳥・魚)
第六の日 地の生き物・人を造られ、天地万物は完成される
第七の日 自身の仕事を離れ安息される
つまり、この世ができるまでの神の動きが、シード・オブ・ライフの円として描かれているのです。
聖書では、「創世記」の第4日目で、創造の半分が完成したと言っています。
シード・オブ・ライフを見につける・飾る・側に置くことで得られる可能性があります。
それは、下記のとおりです。
この形は、聖なる形になります。ということは、シード・オブ・ライフの発する波動というものがあります。
その波動とは・・・
混沌とした暗闇の中に光を生み出すパワーを持っていますので、先の見えない将来の不安や恐れ、そして過去への執着やトラウマなど、心の中が不安と恐れにあり、闇の中にあるような状態の時に、心の中に人生に光をもたらしてくれる神聖幾何学なのです。
人は、生きている以上誰でもより豊かな富・平安・調和を求めています。精神的、物質的な成長の妨げとなる制限を取り除き、光増す人生に変化させるためにサポートしてくれる形になります。
9 まとめ
あなたが「曼荼羅(マンダラ)」という言葉を聞いた時に、最初に発想するものというのは、きっと宗教的なものやアートやスピリチュアル的な要素だったのではないでしょうか?
しかし、ここにある曼荼羅は、ごく私たちのそばにあるもので、自然界のリズムそのものがマンダラなのです・・・ということを語っています。
自然界がマンダラなのなら、私たちは「曼荼羅」の中で生きていると言っても過言ではないのではないでしょうか。
「曼荼羅」とは、私たちのすぐそばにある日常にあるのです。