生理の二、三日前になると、家族の何気ないひとことに、自分でも驚くほどとげのある返事をしてしまう。言ってから、しまったと思う。夕飯の片づけをしながら、どうしてあんな言い方をしたんだろうと、ひとりで落ちこむ。そんな夜に覚えはないでしょうか。
古事記には、月のものを「月が立つ」と詠んだ歌のやりとりが残っています。ずっと昔から、女性たちはこの数日を、どこか扱いにくいものとして抱えながら暮らしてきたのでしょう。
年齢を重ねて、周期が乱れてきた人もいるかもしれません。量が急に増えたり、来るはずの月に来なかったり。からだの変わり目は、気持ちの変わり目でもあります。ここに並べたのは、その数日を少しだけやわらかく過ごすための、小さないたわりかたです。全部でなくていい。ひとつだけ、自分に許してみる。それでかまいません。
1 月経は、からだが毎月おこなう「入れ替え」
月経は、子宮の内側の膜が毎月はがれて、新しく入れ替わるしくみです。
「デトックス」や「毒出し」と言われることもありますが、からだの毒を外に出しているわけではありません。ただ、からだが毎月、黙々と自分を整え直しているのは確かです。そう思うと、この数日を「休み時間」として扱ってみてもいいような気がしてきます。
2 私のからだを知ってあげる最高の機会
月経前になると、決まって起こることなどありませんか?
例えば、むくみやすい・体重が増える・甘いものが食べたい・・・など。その他に、まるで巣ごもりの準備のように無性にお掃除がしたくなる女性もいるのです。
あなたはどうでしょう?ちょっと振り返ってみることが、あなた自身のからだを知ってあげることになります。
3 月経中の過ごし方
〝月経は病気じゃない!〟なんて言われます。確かに病気ではありませんが、経血があるということは、からだはセンシティブになっていることは確かなのです。
そして、風邪を引きやすかったり、疲れやすかったりする方も少なくはありません。
およそ月に一回ですから、この期間は「おやすみ期間」として意識してあげてください。重要な仕事が入ってしまったら、その直後は早めに就寝するなどの自分への気配りも大切です。
からだは、毎月の入れ替えを黙々とこなしています。その数日を少しいたわってあげられるのは、あなた自身です。
4 月経中のケアを考えてみる
お手当用のナプキンといえば、紙と決まっていました。
最近は「布ナプキン」を使う人も増えています。面倒なようですが、今は機能的なものがたくさん出回っています。たまには、布のやさしい肌ざわりを試してみるのもいいかもしれません。
こんなメリットもあります。
4-1 肌に優しい
布ナプキンユーザーが良いと感じていることは、やはり肌触りの良さです。
従来のナプキンでは、装着時になんとなく違和感を覚えるものですが、布ナプキンは普段のショーツと同じ布製ですから違和感がありません。
ムレやかゆみが気にならなくなった、という声もあります。
生理中ではない感覚で過ごせるので、肌ストレスが少なくなったユーザーも多いのです。
4-2 冷えない
使い捨てナプキンは、経血を吸ったあとにひんやりと感じることがある、という声があります。
布ナプキンは綿素材であることが多いため、使い捨てナプキンと比較して、冷えづらいと感じる方が多いようです。
5 経血から私のからだチェック
経血の量については、個人差があります。ただ、いつもの月経と何か違う?などからだのサインを示すバロメーターのひとつでもあるのです。
経血の量だけでなく、状態や色などもからだの状況を知る上では大切です。経血から自分を観察することをしてみませんか?
5-1 「いつもとちがう」に気づく
かたまりが多くなった、量が急に増えた、色がいつもとちがう。そういう変化が続くときは、からだからの知らせかもしれません。眠りや食事を振り返るきっかけにしてみるのもいいですし、気になる状態が何か月も続くようなら、婦人科で相談してみてください。
6 月経痛の改善に簡単ストレッチ
とても簡単なのです。両手をグーっと上げて伸びをしてみます。これを1時間に一回はしてみます。こわばった肩や背中がほぐれて、からだが少しあたたまってきます。
伸びをするときに、腰を左右にゆっくり揺らしてみるのもいいでしょう。腰まわりがゆるむと、重だるさが少し楽になる人もいます。月経中に限らず、思い出したときにどうぞ。
7 月経中に、少し控えてみる食べもの
チョコレートやチーズ、コーヒーは、人によっては頭痛やむくみ、胸の張りが気になりやすくなると言われます。
やめなくてはいけないものではありません。この数日だけ量を少し減らしてみて、からだの感じがどう変わるかを見てみる。そのくらいでかまいません。温かい白湯や番茶を手もとに置いておくと、ほっとひと息つけます。
8 まとめ
学生のころ、生理痛で保健室のベッドに横になった日のことを覚えているでしょうか。白いカーテンの向こうで、先生が小さな声で誰かと話している。窓の外からは、校庭のかけ声が遠く聞こえてくる。授業に出られない後ろめたさはあったけれど、あのベッドの上では、横になっていることを誰にも責められませんでした。
大人になってから、あんなふうに堂々と休めた日は、どれくらいあったでしょう。痛み止めを飲んで、いつもどおり仕事に出て、家に帰れば夕飯をつくる。月経の数日も、ほかの日と同じようにこなすのが当たり前になっていきました。
イライラしてしまうのは、からだが「少し休ませて」と言っているからかもしれません。
この数日だけは、予定をひとつ減らしてみる。帰り道に公園のベンチに座って、木の葉が揺れるのをしばらく眺めてみる。何かを整えようとしなくていい、ただそこにいるだけの時間です。痛みが強い、量が多すぎる、いつもと様子がちがう。そんなときは、ひとりで抱えずに婦人科で相談してみてください。
そういう時間のつくりかたを、林浴(りんよく)と呼んでいます。


