子どものころ、夜に車の後部座席から外を見ていると、月がどこまでもついてくるのが不思議でした。角を曲がっても、トンネルを抜けても、月はちゃんと窓の同じあたりにいてくれたものです。
大人になると、夜空を見上げるのは、信号待ちでたまたま顔を上げたときくらいになりました。けれど月は、そのあいだも休まず、細くなってはまた丸くなるのをくり返しています。
月の満ち欠けや、木の一年のように、自然の中にはくり返すリズムがあります。その話を少し集めました。今夜の帰り道に、月の形をたしかめてみるだけでかまいません。
1 サイクルということ
サイクルとは、ある現象や状態が一定の間隔で繰り返し現れることを言います。別の言い方をすれば、ひと回りして前と同じ状態が現れるまでの時間や期間とも言えます。
身近なものですと、地球の自転周期や月の満ち欠け、そして女性の月経の周期になります。
毎年全く同じ様子が現れるわけではありませんが、季節というのもサイクルといえるでしょう。
2 木にもある、一年のサイクル
月と同じように、木もひと回りのリズムを持っています。
春に冬芽がほどけて若葉が出て、夏には葉を茂らせ、秋には色づいて葉を落とし、冬は芽を固く閉じて休みます。
木を横に切ると見える年輪は、この一年のくり返しが刻まれたものです。よく育つ春から夏にできる明るい部分と、ゆっくり育つ夏の終わりから秋にできる濃い部分が合わさって、一本の輪になります。
葉を落とした冬の木は、枯れているわけではありません。枝先をよく見ると、小さな冬芽が、次の春の葉や花をしっかり包んで待っています。
3 月のサイクルのこと
私達の最も身近に感じられる宇宙は、きっと「月」なのではないでしょうか?
さて、月のことってどの位ご存知ですか?
とっても簡単に、「月」のことを書いてみることにします。
3−1 月は地球を回っています
月は、夜空でいちばん明るく見える天体です。自分で光っているのではなく、太陽の光を照り返しています。月が地球のまわりを回るにつれて、太陽に照らされた面の見え方が変わるので、満ちたり欠けたりして見えるのです。
これが、月の満ち欠けなのです。
月は約27日で地球をひと回りし、新月から次の新月までは約29.5日かかります。女性の月経の周期に近い長さでもあり、昔から、月のめぐりと人の暮らしは重ねて語られてきました。
3−2 月のサイクルと文化
さて、ご存知の通り、月のサイクルは世界中どこで見ても同じです。
そして、月とのつきあい方は、文化によって違いがあります。
例えば、ハワイには、ひと晩ごとの月に名前をつけた暦があります。漁に向く夜、畑仕事に向く夜などが、言い伝えとして残されてきました。
ガーデニングの文化が根づいたヨーロッパにも、月の満ち欠けに合わせて種まきの日を選ぶという言い伝えがあります。日本でも、旧暦は月の満ち欠けをもとにした暦で、十五夜には月にすすきと団子を供えてきました。
どれも、効き目が証明されたものというより、空を見上げて暮らしてきた先人の観察の記録です。
月の満ち欠けと気分の関係については、こちらの記事にまとめています。
4 まとめ──欠けている時間も、めぐりのうち
冬の夜、お風呂上がりにベランダへ出て、冷たい空気のなかで満月を見上げたことはありませんか。白い光に照らされて、近所の屋根も電線も、くっきりと影を落としていて、なんだか眠るのが惜しくなるような夜でした。
月は満ちても、また欠けていきます。木も、春に芽吹き、夏に茂り、秋に葉を落として、冬はじっと休みます。休む季節があるからこそ、次の春にまた芽を出せるのでしょう。いつも満月のように明るくいなくていいと、自然のほうが先に教えてくれているようです。
月の細い夜は、少し早めに灯りを消して休む。葉を落とした木を見かけたら、自分も少しだけペースを落としてみる。そのくらいの重ねかたでかまいません。
欠けている時間も、めぐりのうちのひとつです。
そういう時間のつくりかたを、林浴(りんよく)と呼んでいます。


