アレルギーの症状の一つであるアトピー性皮膚炎。
ちょっと痒くて、時折出現するというケースから、かなり辛くて外出もままならない、さらに入院しなくはどうにもならない・・・そのくらいに程度の差が大きいのがこの皮膚炎です。
さらに、大抵の方はこの皮膚炎と長いおつきあいをしています。
少しでも軽減されることにつながりますように。そして、ストレスが少しでも軽くなりますようにその対策と向き合い方がここにあります。
1 主な症状
アトピー性皮膚炎の主な症状は、かゆみを伴う炎症性の湿疹です。酷いかゆみを伴うことが多いので、掻き崩してしまうことも少なくありません。
皮膚の柔らかいところに出現しやすく、肘や膝裏そして首まわりに見られます。重症度が高くなると、全身に現れるためにとてつもない切なさを感じます。
主に乳幼児に見られるもののように表記されていうこともありますが、近年は大人のアトピー性皮膚炎の重症化が目立つところです。
2 原因となること
一つの要因だけではない場合があります。まずは、自分のからだと心に耳を傾ける・・・が大切です。そこから、何かしらの解決の糸口が見つかるかもしれません。
2−1 遺伝している?
体質というのは時として、親から子へ引き継がれるものです。同じ遺伝子を引き継いでいます。顔さえ似ているのですから、体質は全く違うとは言い切れないでしょう。
ただし、全てが遺伝とは言えません。親は発症しなくても、子が発症しているケースも多くあります。背後にある他の要因も考えてみる必要があります。
2−2 外からの刺激によるもの
肌の乾燥しているために、汗や衣服との摩擦(まさつ)など、日々の暮らしのなかでのちょっとした刺激が皮膚炎を起こさせるということもあります。ダニやほこり、花粉などに対するアレルギーが関係していることもあります。
2−3 日常生活が生み出すもの
かぜや過労、睡眠不足やイライラなどのストレス、不規則な生活なども要因です。女性では月経前も皮膚炎を悪化させるきっかけになります。
2−4 腸内環境
腸内に、汚れがいつもこびりついている状態というのは、腸から排泄物による毒素を吸収してしまいます。これが、皮膚上に現れるということも大いにあるのです。
皮膚も、一つの排泄器官です。また、腸は栄養を吸収するところでもありますから、便秘症の方の場合、せっかくいい栄養を取っても全て吸収されていないということもあるのです。
3 アトピー性皮膚炎の原因はこんなところにもあった・・・
病気にならないために、自律神経のバランスを整えることは、無視することはできません。実は、副交感神経が優位になると、リンパ球過剰体質になるために多少の刺激にも過敏になります。その結果、アレルギー反応が起こりやすくなるのです。
アトピー性皮膚炎は、元々、副交感神経が優位な体調の15歳くらいまでによく見られていました。本来ならば、大人になるにつれて、自律神経のバランスが整い、自然に治癒していたのです。
しかし近年のアレルギー疾患は、なかなか治らず、症状が重くなるということも起きてきています。
3−1 なぜこんな原因も生まれたの?
これは、育ってきた環境や取り巻く環境の変化があります。
具体的には、親の過保護や運動不足、過食によって現代っ子は副交感神経の優位な、リラックスした体調が固定しています。
子どもの頃から穏やかすぎる生活を続けていると、ちょっとした刺激にも過敏に反応して、病気を発症しこれが長期化するということなのです。
大人のアトピー性皮膚炎については、飽食と運動不足によって副交感神経が優位なのです。
こうした体調の偏りプラス、生活環境の悪化がアレルギー性疾患を招いています。これは、排気ガスや化学物質、環境ホルモン、農薬などになります。
4 かゆみはどこからやってくる?
かゆみは、痛みと並ぶ辛い症状です。あまりに痒いと集中力を失って、仕事も勉強も手につかなくなるのです。アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う、典型的な疾患です。アトピー性皮膚炎の言葉を借りれば「骨までかゆい・・・」と言われるくらいの症状です。
からだがかゆみを生じさせる目的があります。それは、体内の毒を排泄させることにあります。
体内に抗原が入ってくると、からだは、IgE抗体(免疫グロブリンE)という抗体を作り、抗原を無毒化しようとします。
アレルギー反応とは、この抗原と抗体、さらにマスト細胞(肥満細胞)が関わります。IgEはマスト細胞の表面にあり、侵入してきた抗原と結びつきます。その刺激で、マスト細胞の細胞膜が壊れて、細胞内からヒスタミンなどの炎症物質が周囲に出されるのです。
ヒスタミンは、炎症を起こして皮膚を赤く腫れさせ、かゆみを起こします。
4−1 皮膚って何をするところ?
皮膚は、排泄気管の一つです。からだが拒絶したものは、ここから排泄しようとします。
よく、子どもが大人から「やりたくないこと」を提示されて、からだを搔きむしることがありますよね。嫌なもの・・・いわゆるストレスがやってくるとかゆみが起こるのです。
さらに、炎症が起こりやすいところは、手足の関節の内側です。なぜかといえば、血行障害が関わっているのです。
体温が低い、血流の悪いところは排泄機能が低下しやすくなります。そこは、血流を増やし抗原を洗い流そうとします。
その洗い流そうとするからだの働きがストレスなのです。
5 役立つ自然療法
かゆみは大きなストレスになります。さらに、掻き壊してしまうと、細菌に感染しやすくなります。なんとか掻かずに済むようにしたいものです。
5−1 ツボを押す
① 聴宮 場所は、耳の前にある、口を開くときにできる小さな窪みです。
外部刺激から皮膚を守る副腎皮質ホルモンの分泌を活発にします。中指の先をツボにあて、頭の中心に押し込むようにじわっと押します。
② 曲池 場所は、肘を曲げたときに出る横ジワの親指側です。
肘関節のきわ辺りになります。大腸の働きを良くし、肌代謝を上げます。肘全体をつかむようにしてツボに親指を当て、息を吐きながらゆっくり押してみます。吸いながらゆるめて左右5〜6回刺激することをお勧めします。
5−2 ハーブティーを利用する
ハーブそのものにも、様々な作用がありますが、心地よい香りを感じることができるのがメリットです。香りにも癒される贅沢なティーを楽しみながらケアをしましょう。
5−2−1 皮膚の炎症のブレンドハーブティー
ジャーマンカモミール✖︎ローズヒップ
○ ジャーマンカモミール・・・主な作用:疲労快復・代謝を高める
幅広い効果のあるハーブで、古くから民間療法に取り入られています。消炎・鎮痛作用の他に発汗、保湿などの作用もあります。
○ ローズヒップ・・・主な作用:免疫力の強化、抗酸化・抗炎作用
初秋に鮮やかな赤い実をつける、ローズヒップのシロップは、何百年も前からイギリスの農村では、貴重なビタミンC源として使われていました。
5−2−2 乾燥肌からくるかゆみのブレンドハーブティー
ジンジャー✖︎ジャーマンカモミール・・・主な作用:新陳代謝の促進。からだを温め、毒素を排泄。
優れたデトックス作用を持ち、さらにからだを温める効果で血液サラサラになります。
5−2−3 体質改善を目指す場合のハーブティー
○ ネトル ・・・主な作用:アレルギーの改善、増血・浄血作用
ミネラルの宝庫とも呼ばれ、体質改善などの目的でも用いられる。皮膚炎などのアレルギー症状にも。
5−3 アロマセラピーを利用する
これらは、部屋に芳香させても心地よく感じますし、お風呂に使う・スキンケアに利用するなどして取り入れてください。
自律神経のバランスを整えつつも、楽な方に少しずつ向かわせてくれるものです。ただし、決して原液で使用しないようにしてください。
ジャーマンカモミール
優れた抗炎症があります。皮膚のかゆみや炎症、肌荒れなどに効果的です。
成分の中に有効成分のカマズレンが入っています。カマズレンはセスキテルペン炭化水素類(-)のひとつで抗アレルギー作用、抗ヒスタミン作用、抗炎症作用、鎮掻痒作用(痒みを鎮める作用)、皮膚組織再生作用があります。
パイン
殺菌、消毒、抗炎症作用があります。爽やかな森林の香りが、心地よい空気を感じさせてくれます。湿しんやアトピー性皮膚炎など、治りにくい皮膚のトラブルに使用されます。
メリッサ
抗アレルギー作用や抗炎症作用のある成分が含まれています。アトピー性皮膚炎や湿しんなどに有効ですが、希釈濃度が薄い方が作用し、かゆみの緩和にも役立ちます。
6 まとめ
アレルギー性疾患は、一気に治るものではありません。地道に取り組むことが大切です。ただ、自分はどこが弱いのかに気づくきっかけになります。
焦らず、深い呼吸でもって、気長に歩んでください。