仕事から帰って、夕飯の片づけを終えて、やっと腰をおろせたのは夜の十時。何か甘いものでもと戸棚を開けても、目に入るのは家族のおやつの残りだけ。みんなのためのものはいろいろそろっているのに、自分のためのものは、ほとんど何もない。そんな夜はないでしょうか。
自分をいたわるのに、大げさなものはいりません。口の中でほろりとほどける干菓子をひとつ、好きな香りの紅茶を一杯、天井に映る小さな星空。ほんの少しの「自分のためだけのもの」があるだけで、夜の時間の手ざわりが変わります。
この記事では、忙しい日々の合間に取り入れやすい、小さなごほうびをご紹介します。全部そろえなくても、気になったものをひとつ選んでみるだけでかまいません。
1 大人の女性に似合う上品な味
巷では、魅力的なスイーツに溢れていますが、疲れた時には、昔ながらのやさしい甘さや香りが、しみるように感じられます。
1−1 和三盆糖の干菓子
原料の和三盆糖は、徳島と香川県の一部で現在も栽培されている在来品種である、「竹糖」と呼ばれる砂糖黍を原材料に、機械等をあまり使うことなく作られている、数少ない国内産の砂糖です。
普通の砂糖との違いは、この「竹糖」にあります。沖縄や海外で栽培されている砂糖黍とは品種が異なり、背丈が低く、茎もかなり細いのが特長です。
干菓子は、華やかな色のついたものもたくさん出回っていますが、つなぎも着色料も使用せずに、和三盆糖のみで作ったものが、一番本来の和三盆糖のテイストを味わうことができます。
コーヒーや紅茶とも合いますが、いちばんしっくりくるのは、やはり日本茶です。渋みを感じる濃いめの緑茶や、お抹茶と一緒に、ひと粒ずつゆっくり味わってみてください。
1−2 マリアージュ フレールの紅茶
1854年にパリで創業した紅茶専門店で、日本にもお店があります。まず、店内の雰囲気が素敵です。
全体として漂うエキゾチックな雰囲気、さらに壁一面に並んでいるティーポットは、どれも個性的です。
ガラス製・鉄製・磁器製など、素材や色の種類も豊富です。
ロゴ入りの黒い紅茶缶もずらりと並び、お茶にくわしいスタッフが、好みや気分に合う一杯を一緒に選んでくれます。
数百種類のお茶がそろう中から、はじめての方にも選びやすいものをご紹介します。
・マリアージュの代表格「MARCO POLO」(マルコポーロ)
中国茶ベースに、エキゾチックフルーツの香りが広がります。ふわっと香る神秘的な雰囲気の紅茶です。
・アールグレイの中でも最も支持が多い「EARL GREY FRENCH BLUE」(アールグレイフレンチブルー)
マリアージュには、アールグレイと名のつくお茶がいくつもあります。その中でも、長く愛されている人気の一つがこれです。ベースになる中国茶に、ブルーエ(矢車菊)の青い花びらがたくさん散りばめられており、花の香りも伝わってきます。
・季節ごとのお茶にも出会える
店頭には、その季節にしか出会えないお茶も並びます。迷ったら、スタッフに「いまの気分」を伝えて選んでもらうのも、楽しい時間です。
2 いつものお部屋を異空間にする癒しのグッズ
どこかに出かけて気分を変えたい。でも、その時間がなかなか作れない。そんな時は、いつもの部屋の中に、小さな別の景色を置いてみる方法もあります。
2−1 掴めそうな星空をあなたのお部屋に。家庭用プラネタリウムで癒し空間
「お部屋の天井を見上げると・・・満天の星空・・」
想像するだけで、素敵ですよね。
テレビのスイッチはオフにしたまま、部屋を暗くして、天井に映る星を眺める。それだけで、一日の終わりの気分がずいぶん変わります。
家庭用プラネタリウムは、手ごろなものから本格的なものまでいろいろあります。
星空の下で眠れることを考えてみてください。
寝る前に使うなら、タイマーで自然に消えるものを選ぶと安心です。
夜に明るい光を浴びつづけると、眠りをうながすホルモン(メラトニン)が出にくくなることが知られています。
寝る前の少しの時間、スマホを置いて部屋の明かりを落とし、天井の星を眺める。
「暗くなったら休む」という昔ながらのリズムを、からだに思い出させる手助けになります。
2−2 お世話も簡単な癒しの可愛い植物
ぷっくりとした葉の、ユニークな形が魅力の多肉植物です。サボテンも、この多肉植物の仲間です。
近年、インテリア雑誌などでも取り上げられ、小さなものなら、100円ショップなどでも手軽に購入できるようになりました。
多肉植物は、乾燥地帯が原産のものが多く、葉に水分を貯めておくことで、長期間の乾燥にも耐えています。それでも、成長期には水分をあげてください。また、たまには、光に当ててあげることも重要です。
水やりは、土がしっかり乾いてからで大丈夫です。水をやりすぎると根が傷みやすく、日に当てないと、ひょろひょろと間のびした姿になってしまいます。
3 まとめ
子どものころ、祖母の家で出された落雁を、口の中でゆっくり溶かしながら食べたことはありませんか。縁側でお茶をすすりながら庭の木を眺める祖母の横で、あのほろりとした甘さを味わう。急ぐ理由の何もない、ゆったりした午後でした。
ごほうびは、高価なものでなくてかまいません。ほんの少しの時間、誰かのためでなく自分のために、味わい、眺め、香りを楽しむ。それだけで、ずっと張りつめていた気持ちが、ふっとゆるみます。
晴れた日の午後に少し時間ができたら、お気に入りのお茶を水筒に入れて、近くの公園の木の下で飲んでみてください。葉のすき間からこぼれる光と、風が葉をゆらす音。家の中とはまた違う、小さなごほうびの時間になります。
自分をいたわる時間は、明日もちゃんと過ごすための、大切な準備です。
そういう時間のつくりかたを、林浴(りんよく)と呼んでいます。


