疲れがたまった日の夕方、胸のあたりがつかえるように重く、肩がぎゅっと上がったまま下りてこない。深く息を吸おうとしても、途中でひっかかってしまう。そんな感覚に、覚えはないでしょうか。
昔のインドの人たちは、こうした「からだのどこかが詰まっている感じ」を、からだの中心に並ぶ「チャクラ」という言葉で表しました。チャクラは目に見えるものではなく、科学で確かめられたものでもありません。ただ、心の状態がからだのどこに出やすいかを、ていねいに見つめてきた人たちの記録として読むと、いまの私たちにも思い当たるところがあります。
この記事では、チャクラという考えかたのあらましと、音・色・香りで自分をゆるめる方法を紹介します。信じるかどうかより、「そういえば最近、胸が詰まっていたな」と気づくきっかけにしてもらえたらうれしいです。
1 チャクラとは何か
チャクラは、インドの伝統的な考えかたで、心やからだのはたらきを支える「エネルギーの中心」とされる場所です。東洋でいう「気」の出入り口のようなもの、と説明されることもあります。
「病は気から」という言葉があるように、昔の人は、気持ちとからだの調子がつながっていることを、経験から知っていました。
1−1 チャクラの概念
チャクラは、古代インドのヨーガやタントラ(インドの密教的な修行の伝統)の中で語られてきた考えかたで、のちにアーユルヴェーダ(インドの伝統医学)とも結びつけて語られるようになりました。
目に見えないものなので、スピリチュアルなものとして受けとる方もいるでしょう。ただ、チャクラがからだに存在することは、いまの科学では確かめられていません。この記事では、「心の状態がからだのどこに出やすいか」を見つめてきた、先人の知恵として読んでいきます。
1−2 チャクラの働き
「チャクラ」は、古代インドのサンスクリット語で「車輪」や「渦」などと表されます。
回る車輪のように、エネルギーが渦を巻いているところ、とイメージされてきました。一般には、背骨の根もとから頭のてっぺんまで、7つのチャクラが縦に並ぶとされ、それぞれが花びらをもつ蓮の花や、曼荼羅のような図で描かれてきました。
その花は、感情によって開いたり閉じたりする、と伝えられています。
思いや感情とからだをつなぐ場所、という意味では、東洋医学のツボの考えかたにも少し似ています。
1−3 チャクラが活性化している状態とは?
チャクラの考えかたでは、チャクラがよく働いているとき、次のような状態になると説明されます。
① 思考がクリア
頭の中に程よいスペースを保つことができ、周囲の状況がよく見えます。また、感情や思考に振り回されないので、物事に取り組みやすく、良いアイデアが浮かんだりするので、良い流れに乗れることになります。
② からだの声に気づきやすい
それぞれのチャクラは、からだの部位や臓器と結びつけて考えられています。肩が重い、胃がきゅっとなる、といったからだの声に、気づきやすくなるとされます。
ただし、チャクラを整えれば病気が治る、ということではありません。気になる症状があるときは、まず医療機関に相談してください。
③ 感覚器が研ぎ澄まされる
私達にある「五感」は、ご存知でしょう。
「嗅覚」「味覚」「視覚」「触覚」「聴覚」があります。チャクラの考えかたでは、そこに「第六感」と呼ばれる直感も加わります。
感じかたがどう変わるかは、人それぞれです。
それは、あなた自身にしかわからない変化かもしれません。
1−4 チャクラが機能しない状態とは?
私たち人間は、毎日を生きている中で、たくさんの経験をしています。その中でたくさんのことを学び、感じて揺れているのです。
この揺れ動く感情やからだに対して、すぐには対処しきれない事柄もあることは確かでしょう。このように、ダメージが大きい場合に、なるべくダメージを受けないように「自己防衛」してしまうこともあります。
チャクラの考えかたでは、こういうときを「チャクラが閉じている」状態と呼びます。
このような時、心もからだも滞る状態にあることは、あなたが一番感じているのではないでしょうか?
次の章では、そんなときに自分をゆるめる、手軽な方法を紹介します。
2 チャクラを整える方法
ここで紹介するのは、どれも「これでチャクラが整う」と証明された方法ではありません。音・色・香りで、自分の心地よさを取りもどすための、小さな工夫です。
短い時間でも、続けてみると、自分の変化に気づきやすくなります。
2−1 音楽を取り入れる
チャクラを整える音として、「ソルフェジオ周波数」をうたう音楽がたくさん作られています。ただ、その効果は科学的には確かめられていません。
それよりも身近で、心をゆるめてくれる音があります。川のせせらぎや、草や木の葉が風に揺れる音です。こうした自然の音を聞くと気持ちが落ち着く、と感じる人が多いことは、いくつかの研究でも報告されています。
胸が詰まるような日は、近くの川べりや公園に、少しだけ身を置いてみるのもいいものです。
2−2 パワーストーンを取り入れる
チャクラにはそれぞれ対応する石があるとされ、パワーストーンを身につける人もいます。石そのものの効果は科学で確かめられたものではありませんが、手のひらにのせたひんやりとした重さや、色を眺める時間が、気持ちを落ち着かせてくれることはあるでしょう。お守りのように、好きな石を選ぶくらいの気持ちでかまいません。
2−3 色を取り入れる
チャクラは、色と対応しています。なぜか最近この色に惹かれる、ということはありませんか。それを、いまの自分の状態を知る手がかりにしてみる、という考えかたです。
あえて、その色を身のまわりに取り入れてみるのもひとつです。
それは、服装の中に取り入れてみたり、小物にその色を取り込んだり、目につくところのものをその色にしてみる・・・などです。
いちばん大切なのは、その色を見て、あなた自身が心地よいと感じられることです。
2−4 香りを取り入れる
チャクラは、活性化させるだけでなく、癒すことも大切です。疲れたら休むのは、心もからだも同じです。
チャクラに対応した、アロマというのもありますが、あなたが心地よく感じられる香りを楽しむこと、そしてその香りの中でくつろぐことが大切なのです。
2−4−1 チャクラを休ませる環境の作り方
「芳香浴」というのをお勧めします。あなたのいる空間が、あなたの大好きな香りに満たされるのです。
耐熱性のカップを用意します。そこに、80℃くらいの湯を入れましょう。そこに、精油を2〜3滴落とすのです。
精油は揮発しやすいので、すぐに部屋が香りで満たされます。目を閉じて、ゆっくり呼吸してみるのもいいでしょう。カップは倒れない場所に置き、小さなお子さんやペットの手の届かないところで。
3 まとめ
子どものころ、夏休みに川で遊んだあと、河原の大きな石の上にあおむけに寝ころんだことはありませんか。背中があたたかくて、水の音がずっと聞こえていて、気がつくと胸のあたりがふっと軽くなっていた。あのとき、何かを「整えよう」とはしていなかったはずです。
チャクラは、エネルギーを取りこんだり手放したりしながら回っている、と伝えられています。食べて、消化して、出すのと同じように、ためこまずに巡らせることが大切だ、という考えかたです。科学で確かめられたものではありませんが、心の詰まりがからだのどこに出やすいかを見つめてきた、先人の観察の記録として読むと、うなずけるところがあります。
胸が重い日は、石も音楽もなくてかまいません。近くの公園で木の下に立ち、葉が風に揺れる音を、しばらく聞いてみる。それだけで、息が少し深くなるのを感じるかもしれません。
巡らせるのに、特別な道具はいりません。
そういう時間のつくりかたを、林浴(りんよく)と呼んでいます。


