マンダラ(曼荼羅)アートを癒しのツールにする方法

癒しになる曼荼羅アートとは何か

会議中、資料の余白に、気づけば同じ模様を繰り返し描いていた。そんな経験はありませんか。

四角を描いて、その中にまた四角を。渦を描いて、その先にまた渦を。特に意味があってしたわけではないのに、なぜか手が止まらなかった。

この「円や模様を繰り返し描く」という行為は、実は世界中の文化に、姿を変えて存在しています。チベットの砂曼荼羅、ヒンドゥー教のヤントラ、ケルトの結び目模様――。示し合わせたわけでもないのに、遠く離れた土地の人々が、同じように円や渦を描いてきました。

その曼荼羅アートの成り立ちと、今すぐ手を動かせる曼荼羅アートの種類を、まとめてみました。

1 曼荼羅とは何か

曼荼羅とは、古典サンスクリット語の「mandala:マンダラ」を漢字で表現した言葉です。漢字で表記することは、仏教的見地からのマンダラの表し方になります。

マンダは「本質」、ラは「有する」という意味で、本質を有するという意味になります。
また、少し違う意味もあります。

マンダは「円」であり、聖なる中心を意味しており、ラは、区切るという意味を持っていて、マンダラとなると「本質の器」と訳されるとも言われています。

1−1 曼荼羅が表すもの

ヒンドゥー教や仏教では、曼荼羅は霊的修行の聖なるシンボルとされてきました。多次元的な宇宙を二次元的に表したものとされています。

2 曼荼羅とアート

曼荼羅の絵図というと、掛軸のようになっており、中心に大日如来が鎮座した、仏教画を思い浮かべることが多いでしょうか?
仏教との関連性の有無に関わらず、素晴らしい芸術に昇華した曼荼羅があります。

2−1 仏教由来の曼荼羅というアート

2−1−1 砂曼荼羅

砂曼荼羅

静けさの中で、僧侶たちが鮮やかな色彩の砂を用いて描く曼荼羅があります。これを作成せるのは、仏教の中でも独自の文化として築き上げてきた、チベットにあるのです。

チベットの芸術のほとんどは、僧院の中で発達してきたと言っても過言ではないものです。

中でも、砂曼荼羅は、もともと宗教儀礼だったものが、芸術に変化していったものの代表です。

砂曼荼羅の製作期間は、およそ一週間です。一心不乱に砂を落としていく様は、修行というに相応しい空気感が漂います。
この砂曼荼羅は、仏が住む宇宙を表していると言われています。
この美しい砂曼荼羅ですが、精魂込めて作られたものであるのに、完成後はすぐに壊されてしまうのです。

「自分の肉体もいつかは滅びる」という諸行無常の教えがそこにあるのです。
物質的な繁栄だけを求めるのでなく、心や精神性の奥深いところの繁栄を求めるのを感じられます。

2−1−2 ヒンドゥー教の幾何学模様

ヒンドゥー教の世界観では、あらゆる創造物の根源は、一つであるとされています。

その中心にあるのは、宇宙であり神になります。ヒンドゥー教の曼荼羅は「ヤントラ」といいます。

これは、大きな力を秘めた聖なるシンボルとして、神や宇宙と繋がるための瞑想に使われています。これは、蜘蛛の巣のように、幾何学の形をしていて、瞑想者の心の旅が、徐々に中心に引き寄せるものとなっています。

2−2 ケルトの模様

ヨーロッパに古くから居る、先住民の美しい文化の中にも、曼荼羅が存在しています。

2−1−1 ケルトとは?

古代ヨーロッパに住んでいた、ケルト語を話す人々や文化のことを言います。文字を持たない文化ということで、謎の部分が多く、未解明のままです。

ケルト語を話すケルト人とは、民族ではなく、ヨーロッパに散在していた先住民族です。ヨーロッパにおいて生きていても、一つの国に落ち着くことはいのです。

ケルトは、「大陸のケルト」と「島のケルト」と大別されますが、長い時間に移動を重ねたり、戦いの間にほかの民族と一緒になることで、紀元前600年頃にアイルランドの島に渡っています。

2−1−2 代表的なケルトの模様「ケルティック・ノット」

035

ケルトでは、「肉体は滅びても魂は不滅」と考えられて、輪廻転生の考え方があります。
この「ケルティック・ノット」は、渦巻きや絡み合った網目模様が多く、始まりも終わりもない循環を表しています。

2−1−3 三位一体を表す「トリケトラ」o0220022012528614640

この名称は、3つのコーナーという意味になります。三位一体を表す図であり、「3」という数字は、自然界に働く力のことを言います。

例えば、生と死と再生、肉体と精神と霊、などがそれになります。
円や、その他の複雑な模様が編みこまれていても、角が三つあるものはトリケトラに分類されます。

2−1−4 女性性のシンボル「トリスケル」o0639060012534629298

聖なる数字3と回転するエネルギーが合わさったものになります。
多くは、月や女神など、女性性を表すシンボルになります。女神のシンボルである、「少女」「母」「老婆」、または「満ちていく月」「欠けていく月」「満月」を表現するとも言われています。

2−1−5 4つのエレメントを表す「スクエア・ノット」

四角のデザインが特徴の、ケルト模様です。4は、安定の数字であり、四季や火・水・風・地の4エレメントを表します。

守護の力があると考えられて、兵士の盾にも描かれた模様です。

14805629_669276373236407_314410676_n

3 曼荼羅アートに触れてみよう

曼荼羅とは、大変奥の深いもので、宗教によってもその捉え方や活用の仕方が異なります。
しかし、曼荼羅に共通することは、「自然と地球」を意識することができるということ、いずれの宗教の世界も、宇宙を尊ぶ思想にあるということです。

その神聖で穏やかな空気を、手軽に感じることができるのが、「マンダラ塗り絵」のような取り組みになるのでしょう。

3−1 曼荼羅を描く・塗るということ

これは、単に美しいということだけではない、と感じられているからこそ、書店に並んでいたり、メディアに取り上げられているのです。

曼荼羅には、アートを作成する方にしかわからない、心地よいリズム感があると言われます。そこから、深いリラクゼーションに導かれるといわれます。

3−2 曼荼羅から得られるセラピー効果

描く瞑想と言われている「曼荼羅のアート」です。そこから得られるものは、次のようなものになります。

3−2−1 気づきがある

瞑想そのもの自体に、自己と繋がることができ、内包されていたものが明らかになってくるといった効果があります。

その気づきには、あるがままにある自己の存在(心・からだ・思考・感情・意識・無意識)を自覚していくことになります。

ということは、日常の慌ただしさで、バラバラになっていた自分が統合されていくような感覚を得ることができるのです。

3−2−2 ストレスからの解放

現代人の日常のパターンは、あまりにゆとりがなく、自分を見失うことになりがちです。そのような時は、とかく呼吸も浅くなっています。

とても簡単な曼荼羅のアートに触れることにより、自分を客観的に眺められるような、ゆとりが生まれてきます。

3−2−3 隠れた才能が引き出される

自分の奥深くに意識を向けることにより、潜在的に眠っている能力が引き出されるということにもなり得るのです。

人には、自分ではおおよそ気づかない、才能が眠っていると言われます。それに気づけると、さらに素晴らしい人生の糸口を見つけたことになるでしょう。

4 曼荼羅のアートセラピーのご紹介

置かれている状況によって、取り組みのしやすいものを選ばれると良いでしょう。
時間の取れるときには、ちょっと込み入ったものに取り組んでみるのも、目先が変わって、楽しむことができます。

4−1 曼荼羅塗り絵

これは、世界各地の曼荼羅をモチーフにした塗り絵です。先に紹介した、ケルト模様も入っています。

文化や宗教によって趣の違う図案は、見ているだけでも美しく面白さのあるものです。
書店に多く並んでいます。あとは、色鉛筆さえあれば、手軽に取り組むことができます。

4−2 パステル曼荼羅

パステルアートと同じサイズの15×15の画用紙に描きます。

パステルという、色彩もタッチも柔らかい画材を粉状にして塗っていくというものになります。

曼荼羅は、好みの型を使って描くと模様も作りやすいのです。複雑な模様の曼荼羅にも挑戦できます。

 

_661516016_o

 

4−3 点描曼荼羅

黒い画用紙とカラーの水彩ペンを使い、「点」を繋げていきながら、曼荼羅を作成していくものになります。

最初におおよその下書きをするものですので、気負わずに、リラックスして取り組むことができます。

 

2111948059_o

 

4−4 ゼンタングル

単一色を使っていきます。シンプルなパターンを繋げていくアートで、静かでリズミカルなアートです。「Zen禅」と「Tangle絡まる」を合わせた造語で、ヨガや瞑想のように、日常生活に取り入れるリラクゼーションの方法として、アメリカで生まれたのです。

2060938889_n

 

4 まとめ

曼荼羅を描くという行為に、特別な意味を求めなくてもかまいません。

色を選んで、塗る。模様をつなげて、また模様をつなげる。ただそれだけの時間の中に、いつのまにか「うまく描こう」「早く終わらせよう」という気持ちが消えていた――ということが、起こります。

何かを完成させるためでも、上達するためでもなく、ただ手を動かしている時間。

そういう時間のつくりかたを、林浴(りんよく)と呼んでいます。

→ 林浴とは──森が、大人の保健室になる

週に一度、
静かな手紙が届きます

なんとなく疲れている。
眠りが浅い。
自分のことは、いつも後回し。

そんな日々に、週に一度だけ、短い手紙をお送りしています。

森へ行きましょう、という話ではありません。
遠くの森へ行かなくても、窓の外の一本の木で足ります。
誰かに癒してもらうのではなく、自分で癒える力を思い出していく——
そういう時間のつくりかたを、季節に沿ってお伝えしています。

ご登録のあと、三日間だけ「林浴とは何なのか」のお話を三通お届けします。
読み終えた方には、十二か月ぶんの手紙を集めた「季節の手紙帖」をお贈りします。

はじめての方は、まずこちらから
→ 林浴とは──森が、大人の保健室になる

komorebi 林浴ライフデザイナー 西川えりこ