曼荼羅アートと色に対して、次のようなご質問がありました。
また、曼荼羅は、日本や宗教観に留まらないものですので、以下より「マンダラ」と表記していきます。
マンダラアートには、アートというだけに「色」が伴ってきます。その色も、意味を持っているのです。特に、どなたでも取り組みやすい、マンダラ塗り絵を塗るという行為を通して、ご自分の傾向に気付かれることがあるかもしれません。
ただ、その惹かれる色に、純粋に気持ちを委ねてみることをお勧めします。そこには、肯定も否定もないのです。そこで、色の持っている意味がありますので、メインに使われる色を具合的に挙げていきます。
1 あなたの選ぶ色のこと
1−1 赤
エネルギーに満ち溢れている色です。血液の色と同じということもあり、「肉体」との関わりも強いものになります。時間の経過を表すならば「今、この時」という印象になります。この色と永遠という言葉は、程遠いものになります。
そのほかのキーワードとしては、生きる・情熱・セクシュアリティ・愛・生み出す力などが挙げられます。
裏の側面としては、怒り・暴力・火というものを象徴する色でもあります。
1−2 青
身近なところでいうと、よく晴れた空の色です。そして、無限の宇宙空間や宇宙から見た地球の色でもあります。この色は、「永遠性」を示す色でもあり、天国の色と表現することもあります。
とても静かで、冷静で、リラックスした色です。聖母マリアのローブがこの色であるように、女性原理の子供を育む面に関わる色でもあります。
1−3 黄
太陽を象徴する色になります。特に、太陽が昇るときと沈むときの動きのリズムがある色です。また、男性性のエネルギッシュな部分との関連性もある色になります。
この色は、神経系統に影響をもたらす色と言われ、自己認識を促す「意識の光」を意味します。また、情熱を生み出すエネルギーとの関わりもある色です。
1−4 緑
この色を提示されると、森の色とか自然の色という方がとても多いのです。まさに、自然との関わりの深い色で、バランスや調和を意味する色でもあります。
植物の芽吹きをイメージさせる色でもあり、それは根源的な豊穣の力を表しています。そのほかに、新鮮さ・健康・平和・繁栄を象徴する色でもあるのです。
1−5 オレンジ
特に注意することもないのに、からだを健康なバランス状態に保ってくれる「生命力」を表す色と言われます。また、持久力、強靭さ、大志を表す色でもあります。インドの僧侶の袈裟の色からも受け取れるように、悟りの色でもあります。
1−6 紫
高貴で、優美さを表す色でもあります。権力の大きさを表す色にもなります。忍耐・信頼・信仰・禁欲を意味する色になります。日本における仏教の色にもなります。
1−7 ターコイズ
青に緑が混ぜ込まれた色になります。寛大さ・愛・癒しを示唆する色になります。世界中の、伝統的な生活様式を営んでいる人々の中に、入り口とか窓の縁をこの色にしているところが多く見られます。
これは、悪霊がはいいてこないようにしている例がよく見られています。この色は、邪悪なものの侵入を防いで、安全を確保する力があると伝統的に信じられています。
1−8 茶
土の色でもあるように、大地と豊穣を示す色になります。また、エネルギーを溜め込んだり、閉じ込めたりすることを象徴する色でもあります。
1−9 白
死を超越する、目もくらむような精神の輝きを表す色です。燃え盛った火の後に残された灰の色であり、または雪の静けさを示唆することもあります。純粋・無垢・誕生の象徴の色でもあります。
1−10 黒
闇や腐敗や、死にまつわる不吉な色を示唆する色です。喪や無生命の象徴でありますが、同時に邪悪なものからの防御の象徴になります。
また、死者の魂に対する敬意の色でもあります。意味が大変深く、記憶・永遠性・不変性も黒によって表現されます。
2 色の選択について
たくさんある色鉛筆の色を見ると、なかなか最初の一本を決めることができないという人が、少なからずいます。マンダラ塗り絵を行う際に、この色選びをするということから、すでに心を整える作業が始まっているのです。
最初にどんな色を選んでも構いませんが、5色選んでスタートしてみるのが良いのです。
それは、私たちの最も身近にある、密教マンダラの色が5色使われているということも関係しています。この密教マンダラ以外のマンダラにおいても、5色が多く使われています。その色は、赤・青・黄・緑・白または黒になります。
2−1 色の傾向について
色の選択については、取り組む方の好みも大きく反映されますので、一概には言えませんが、色の選択する傾向から、おおよそ心の状態も見えてくるものなのです。
ただ、これだけは知っていただきたいのが、最初がどんな色のマンダラであっても、塗ることを続けていくうちに、どんどんと美しいマンダラになっていくということです。
そして、この美しさに近づいていくに従って、心が整ってくるということも明らかになっていうことです。
2−2 色の塗り方について
マンダラ塗り絵に取り組んでみたら、そのマンダラをちょっと離れた壁に貼って眺めてみてください。
もしそこに、塗り方が薄かったり、偏った塗り方になってしまったり、色が暗い場合もあるかもしれません。その時には、意図的にそこに現れている反対のことをしてみる、ということも効果的です。
最後に・・・ 塗っていく時に意識したいこと
マンダラという普遍的な模様に、色を落とし込む際に、「集中と拡散」を意識してみると良いでしょう。集中というのは、マンダラ全体が、周縁から中心に向かってギュッと締まっていく感覚です。また、拡散とは、マンダラ全体が、中心から外縁に向かって広がっていう感じです。
伝統的なマンダラの傾向には、少なくともこの感じがあるのです。マンダラという尊い模様です。漠然と塗るのではなく、静かに、丁寧に、心を落ち着けながら向き合ってみてください。
マンダラアートには、たいてい綺麗な色が塗られていますし、マンダラの塗り絵にも色を落とし込んでいくという作業が伴っています。
私自身もいつも使う色があり、その色が好きかと言えば、そうでない時もありますし、好きではないけれど、どうしても使いた時があるのです。
マンダラに限らないかもしれませんが、色を選んで塗っていくということは、意味があるのでしょうか?また、どうしても色を選べない時もあるのです。そこにも何か意味はあるのでしょうか?