曼荼羅アートに惹きつけられるその魅力10選

曼荼羅アートに惹きつけられるその魅力10選

曼荼羅アートが、ちょっとした流行りにもなっていますが、人は、なぜ曼荼羅に惹かれるのでしょうか。

その意味するところは、美しいデザインだけではないということが、わかってきています。人が魅了されて止まない、曼荼羅の奥深さがここにあります。

また、曼荼羅というものは、宗教観を超えて存在していますので、以下より「マンダラ」と表していきます。

1 マンダラについての知識

マンダラは、インド大乗仏教が起源となっています。「真理」というものを敢えて言葉でなく、視覚を通して、象徴的に表現しようと生まれた図像なのです。

心とからだのつながりやこの世に存在する微細なものと極大なものとの関わりを説くものとして、心の構造図とも宇宙の構造図とも受け取れます。

1−1 狭義のマンダラとは

マンダラという名称がついたものは、インドで生まれて、日本やチベットへ広まった密教から作り出されてものです。

密教が崇める尊格(いわゆる仏や菩薩やあらゆる神々のこと)を幾何学的に配置して、密教の世界観や宇宙感を、象徴的に表現した聖なる図形とも言えるでしょう。

この主な目的とは、実は瞑想修行や儀礼遂行にありました。

1−2 広義のマンダラとは

こちらの方は、地域や時代を問いません。つまり、宗教的な限定とも、時代的な限定というものも超えているのです。世界のあちらこちらに見出せるものなのです。

狭義と等しくしているのは、幾何学的な構成がもたらす、強い対称性を持つ、聖なる図形であるということです。

具体的に言えば、ヒンドゥー教にもキリスト教にもイスラム教にもあり、ケルト文化にも、ネイティブアメリカンにもあります。全く縁のないもの同士にも、共通のよく似た図形が見られるのです。

また、精神医学者のユングも精神を病む人々との交流の中で、このタイプのマンダラと出会い、探求し、その効果と意味するところを表しています。

1−3 マンダラの原点とその形

言葉としての「マンダラ」は、古代インドの公式言語だった、サンスクリット語の単語になります。そうなると、このマンダラを生み出して育んだのは、古代インドということになります。マンダラという言葉の意味は、「円」とか「輪」になります。

その流れで、奈良の東大寺の大仏を建立するきっかけとなった、「華厳経」という経典は、マンダラを「輪円具足」と意訳しています。

意味としては、「丸くて、何一つとして欠けたものがない」という意味になります。地上に円もしくは、輪を描いて、その中と外を区分けして、中に邪悪な存在が、侵入しないようにして、いわば「聖なる空間」を確保して、宗教的な営みを行っていました。

つまりのところ、「結界」なのだということがわかります。

2 伝統的なマンダラアート

特定の宗教を超えて、芸術としても繰り出されているマンダラがあります。

2−1 ヒンドゥー教の「ヤントラ」

ヤントラ

ヒンドゥー教のその形は、マンダラとは言わずに、ヤントラと言います。

このヤントラは、マンダラほどの緻密さは持っては持ってはいませんが、単純な構図であることから、目に飛び込んで来やすいということで、印象が強く残るものなのです。

このヤントラを、ヒンドゥー教では、瞑想に用いていました。
瞑想者は、ヤントラを心の中に描き出し、その中心で、神と融合することを目指していました。

ヤントラにありマンダラにない、目立つ特徴としては、三角形の多様になります。

ヒンドゥー教の伝統では、三角形は神的エネルギーの象徴としてみなされています。そして、上向きの三角形は、男性原理を表し、下向きの三角形は、女性原理を表しているのです。

2−2 女性の描く「ランゴリ」

ランゴリ

インドの伝統では、現在まで続く、女性によって伝えられる「マンダラ」があります。これをランゴリといい、複雑な形のマンダラ型図形を描いて、自分たちの家や中庭を飾ります。

これは、たいてい赤い土間の上に、小麦粉から作った白い塗料で描きます。よく描かれる図柄というのがあり、花・葉・動物・小鳥と幾何学模様になります。

描き方は、最初に点で格子を描き、それから直線と曲線を描き加えて、全体を構成していくものになります。

このテクニックは、母から娘へと継承されるもので、個人的な表現もあり、その家のお祝いごとのためや、神々に家を守ってもらうための捧げ物としても描かれます。
よく似た伝統が、ネパールにもチベットにもみられます。

2−3 キリスト教のバラ窓

バラ窓

キリスト教にマンダラがあるとすれば、ロマネスク様式やゴシック様式の大聖堂に見られる「バラ窓」がそれになります。

バラ窓の起源は、無学で字が読めない者のために、教会の壁面に、キリストや聖母マリアの生涯について描くように始まったものになります。

なぜバラかというと、様々な説があり、判明はしていません。ある説では、聖母マリアが、バラの花に例えられていたから・・とか言われています。

このバラ窓が見られる、代表的な場所としては、フランスではシャルトル大聖堂。パリのノートルダム大聖堂。イタリアでは、ヴェローナのサンゼノ教会になります。

2−4 ヒルデガルトのマンダラ

ヒルデガルト

キリスト教にまつわるマンダラとして、ベネディクト派の聖女ビンゲンのヒルデガルトが描いたものです。ヒルデガルトは、多岐にわたる才能の持ち主でした。また、修道女でもありました。

この人が描いたもので「宇宙卵」があります。宇宙を生み出す卵のことであり、世界卵とも言われています。また、宇宙そのものの形態を示しているものとみなされてきました。

ヒルデガルト描いた宇宙卵は、特徴的です。というのは、よく見ると真ん中にあるのが地球で、その上の方にあるのが、月を表しています。この当時は、天動説が定説だったので、地球が宇宙の中心となっているのです。

さらに、この二つの天体は、きらめく星によって取り囲まれています。じっと見ていると、星空を見上げているというより、井戸の底に映った星空を覗き込んでいるような感覚になるのです。

3 心理学とマンダラ

現代におけるマンダラ論を語る際には、スイスの分析心理学者のユングとは切り離せないものがあります。また、マンダラが現代の精神医学にも影響をもたらすのでないかということも言われ続けているのです。

3−1 ユングの提唱した心理学

ユング

ユングの心理学の概要の特徴として「原型」というコンセプトを提唱したところにあります。

ユングは、精神病者の幻覚や、妄想が個々人の環境や体験を超えて、昔からある神話や伝説に共通するパターンの上に成立している事実を発見しました。その中で共通してりうパターンを原型と呼びました。

ユングは、人間の無意識は、個人的無意識と普遍的無意識の二つの層から成っていることを言っています。

3−2 ユングとマンダラ

ユングのマンダラに対する関心は、二つの方向から芽生えました。
一つは、一つはユングの個人的体験に由来するものであり、二つ目は、精神を病む人々を治療する上で見出したものです。

ユングによると、マンダラは心の統合と全体性の原型であり、患者が自ら治癒しようとする時に、患者の手によって出現するのだということです。

ということは、マンダラという象徴を描くという手段を通して、葛藤を調和に導き、崩壊していた秩序を再統合していき、その結果として、患者自身と世界が和解していくための有効な方法の一つになるということなのです。

また「個性化」という概念と結びつけて、マンダラを描くことは、人並みの欲望を持った有効な手段の一つであり、主体性を喪失し、個性が埋没している状況を蘇らせるとも言っています。

4 マンダラを描くことの意味

100年近くも前に、ユングが患者に描かせていたというマンダラですが、一部の精神科医の中で治療の一環としても試みることが行われています。

4−1 マンダラ塗り絵の効果

マンダラ塗り絵が、書店にひら積みされていますが、実は、心身の病巣をも外に表出する働きを持っていると言われています。この中で、重要なのが、「色」にまつわる問題なのです。

多様な色彩感が感じられないのは、心身に疲労や悩みが隠されていたり、少々枯渇傾向にある状況がわかるのです。

そして、この塗り絵を続けていくことが、心身のバランスを整え、人格が柔和になり、様々な葛藤を克服して、状況を改善していく力がついていくのです。

また、マンダラ塗り絵によって、自分自身の心のプロセスに気づくこともできます。それは、心とからだの声に耳を傾けていくということなのです。

4−2 癒すためのマンダラの塗り方

心が沈んでいる時は、暗い色を選びがちですが、あえて明るい色を選び、しっかり丁寧に塗っていくことなのです。それは、指先や手のひらや視覚を通して、脳にも良い刺激になるのです。

また、息を止めずリラックして塗ることが良いのです。余計な力が入っていると気づいたら、深く深呼吸をして、心を落ち着かせてみましょう。

5 まとめ

マンダラに魅了される人が多いのには、背景やその理由があります。そして、日本におけるマンダラ塗り絵だけが、一般にあるものではなく、海外を見渡せば、すでに一般の人によっても美しいアートのマンダラが作り上げられています。

マンダラという円を含む模様には、国や人種を越える共通したものがたくさん含まれていることに気づきます。

ちょっと、気持ちが落ち着かなくなったら、フリーハンドでも丸い円を描いてみませんか?そこから、何か安心したものが見出せるかもしれません。

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曼荼羅と聞いてどんなイメージを持ちますか?
ちょっとしたイメージから得られる曼荼羅と、ここで知ることができる曼荼羅は、違いがあります。

読んでいただければ、今までのイメージが一掃されることでしょう。

それは・・「曼荼羅って意外に身近なものなんだ・・・」と感じられるということです。

本当の曼荼羅とはどんなものなのか・・・を多くの皆様にお伝えできればと思います。