記憶と森の香りの関係 6つの不思議

緑の深くなる季節になると、葉や土の香りと暖かい空気が相まって、深い自然の香りに満たされます。その香りは、子どもの頃に、森の中で遊んだ記憶・思い出と重なってきます。

なんとなく懐かしく、自分の原点に戻ってきたような香りがあります。それは、森の中に入ると尚の事です。

この、木々の香りからの恩恵は、想像以上に心とからだにもたらされることがわかっています。森のことを知って、お金のかからない「本当の癒しの場所」に訪れてみませんか?

1 森と木々の中へ

森の中に入るとなんちも言えない清々しい気持ちになる体験をされたことはあるでしょう。この感覚をもたらすのは、樹木が発散する芳香で、「フィトンチッド」と呼ばれています。

「フィトンチッド」を発見した旧ソ連のB.P.トーキン博士という方が、「フィトン」(植物が)「チッド」(殺す)と名付けました。
植物が傷つくと、傷口や菌や細菌などから守って修復させるために、出すものになります。

1−1 フィトンチッドはどこにあるのか

「フィトンチッド」は、植物の根や幹に含まれ、森林では、主に葉から放出されています。そのため、「フィトンチッド」と呼ばれる成分が、森に溢れているのです。

「フィトンチッド」の語源は、少し怖くも感じる意味を持っていますが、実は私たち人間にとっては、多くの恵みを与えてくれる「森の精気」なのです。

1−2 森の浄化のこと

フィトンチッドは、植物に耐えず侵入しようとする有害な微生物(菌や細菌)、または傷つけるような昆虫かから身を守るために、植物が生み出しているものです。

また、実は森の中には、動物の死骸や排泄物が堆積されているのです。本来であれば、それは臭気となって、不快な臭いを発するはずです。

しかし、それを全く感じないのは、フィトンチッドが消臭効果や抗菌性を持っているからなのです。つまり、森の木々は、森を浄化させる能力を持っている解くことになります。

2 森のアロマとその作用

日本人に親しみのある香りが、最近では精油(アロマオイル)として出回るようになってきています。
ここで、いくつかの森の香りの精油をご紹介しましょう。

① ヒノキ

古くから、神社仏閣にて建材として使われている、爽やかな木の香りとともに、安定感と落ち着きをもたらしてくれます。体液の循環を促進する作用を持っていて、冷え性やむくみの改善になります。
皮膚には、特に頭皮のケアに役立ちます。

② モミ

まさに森林浴をしているような、清々しい香りです。色で言えば、鮮やかなグリーンの香りになります。リフレッシュの作用とともに、安眠にも導いてくれるのが、嬉しい作用です。
空気を清浄する働きもあり、風邪やインフルエンザなどの、感染症の予防に効果的です。

③ 翌檜(アスナロ)

ツヨプセンという成分が含まれていて、森林浴作用が高く、心を落ち着かせてくれます。あらゆる研究結果から、ストレスを緩和させるにに有効とされていて、不眠症の改善にも役立ちます。
含まれている、ヒノキチオールが、肌に保湿を与える働きもあります。
またこの成分により。防カビ、防虫、消臭の効果も期待できます。

3 懐かしい香りは最善を引き出す

なかなか森に足を運べない時には下記のようなものからも、森林浴の作用が得られるのです。

3−1 身近なところに懐かしい香りを

それは、家や家具にあるのです。
森林の木々は、木製品になっても、その作用は持続することがわかっています。

例えば、「ヒバ材で建てた家は、蚊がよらないし、カビが生えない」と言われます。それは、家の建材のみならず、家具などからも得られるものです。

木の香りの家に入った時に感じる、懐かしさやホッとくつろげる感覚は、子どもの頃に感じた感覚であり、自然の一部として生きてきたDNAの記憶なのです。

3−2 香りを感じる記憶の脳

ちょっと古い建物に入った時に感じる懐かしさってありますよね。
香りは脳の記憶に深く関係しているのです。

3−2−1 香りとプルースト効果のこと

香りを嗅ぐことで、その記憶や感情が蘇ることを、「プルースト効果」と呼びます。
「プルースト」とは、フランスの作家のマルセル・プルーストのことです。

その半生をかけて執筆した大作「失われた時を求めて」の中で、語り手が口にした、マドレーヌの味をきっかけに、幼少期の家族の思い出が蘇ることから、香りによって記憶が蘇る・・ことを「プルースト効果」と呼ぶようになったのです。

3−2−1 香りとフラッシュバック

香りでフラッシュバックすることは、私たちの日常においてもよくある、出来事です。
例えば、このような経験はないでしょうか?

  • ある人が、自分の前を通りがかった時に、知っている香り漂ってきて、ある友人の顔が浮かんだ・・・
  • ある男性のが着けている香りが、かつてお付き合いしていた彼のものと同じで、心がキュンとした・・

というようなことです。

3−3 香りを記憶する脳の仕組み

「香り」を感知する嗅覚は、五感の中で唯一「大脳新皮質」を経由しないのです。では、どういう経路を取るのかというと、嗅覚だけは、他の感覚と違って「大脳辺縁系」(海馬・扁桃体など)と直接つながっているのです。

これは、喜怒哀楽などの感情や、食欲などの本能行動などを司る部分となります。つまり、「香り」は、本能的な行動や感情に直接作用ということなのです。

3−4 「香り」の記憶は残る

「香り」の記憶は、視覚の記憶に比べて、忘れにくいというデータがあります。

視覚と嗅覚の把握期間との関係を調べた実験の中で、視覚的記憶が短期間で急速に変化したのに対し、「香り」の記憶は1年経ってもほとんど変わらなかったということがわかっています。

長時間たってもなかなか薄れない「香り」の記憶です。「ずっと忘れたくない・・」と思う出来事がるようでしたら、「香り」と一緒に覚えておくと良いかもしれません。

4 まとめ

先にも述べましたが、森の国「日本」です。心の潤いが無くなった・・・と感じた時に、記憶をたどって帰るところは、懐かしい「森の中」や草の香りのするところなのではないでしょうか。木々や葉の擦れる香りと土の香りは、本来の私達を蘇らせてくれる香りなのです。

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